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東京都三鷹市で二世、三世問題シンポジウム開催   韓静さんのリポート 2017年

  3月19日(日)東京都 三鷹市公会堂において『「中国残留邦人」の問題から考える歴史問題としての二世、三世問題』と題したシンポジウムが三鷹市の主催で、NPO法人中国帰国者の会が受託し、地域生活支援事業として行なわれた。
 NPO法人中国帰国者の会前理事長石井小夜子弁護士がコーディネーターを務め、パネリストとして種子島秀子さん(一世)と中尾美恵さん(二世、支援・相談員兼自立指導員)そして私、韓静(二世、支援・相談員)、が参加した。
 石井弁護士は二つの判決を紹介した。@中国帰国者家族に対する退去強制を福岡高裁が取消した判決。A中国残留婦人国賠訴訟で、東京地裁が「中国残留邦人」を「長期未帰還者」と捉えた判決。いずれの判決も、原因は国の過去の政策に起因し、中国残留邦人を早期帰国させるための救済措置の遅れにあることを明確に示したと紹介した。
 そして中国残留邦人の帰国の遅れが、二世、三世の帰国の遅れとなり、彼らの人生にも大きく影響し、格差と差別、日本語習得の遅れ、就労、さらに高齢化した二世の生活問題など多岐にわたり、多くの問題が存在していると述べた。
 ディスカッションでは@二世、三世の国籍取得の経緯とその後残された諸問題。A同伴家族と呼び寄せ家族についての格差・差別の事例。B公営住宅の一世から二世への承継できない事例が取り上げられた。
 二世、三世の国籍は、中国残留邦人一世が男性か女性かによって、異なり、一世が男性の場合、帰国と同時に就籍により二世、三世も日本国籍を取得することができたが、一世が女性の場合、同伴で帰国後、3ヶ月以内に申し立てれば就籍できたが、その他の場合は帰化手続が必要である。このように一世に対する男女差別は、今に至っても二世、三世の国籍に影響している。
 日本国籍を有さない二世、三世は在留資格を取得する必要が生じる。
 一方、2014年、永住外国人には、生活保護受給は権利としては有さないという最高裁判断が出されている。
 そのため生活保護を受けている二世、三世の在留資格が格下げされたり、最終的に中国に帰らざるを得なくなるケースが発生している。
 また国外へ強制退去させられる事例など二世、三世に不利益をもたらす事件は、関東でも関西でも起きている。
 たとえば何かの犯罪に巻き込まれた場合、永住権を持つ二世、三世でも強制退去になる可能性がある。
 また、二世、三世の帰国が「同伴」か「呼び寄せ」かによって、受けられる支援が全く違い、呼び寄せ帰国家族には高齢者が多いにもかかわらず、日本での生活、就労、日本語学習の支援は殆ど無く、新支援策の制度としてできた中国語のできる支援・相談員の支援も受けられないのが現状である。
 1993(平成5)年の日中政府間の口上書(4項(2)、(3)の永住帰国条項)の家族に関する取り決めでは、「同伴家族及び呼び寄せ家族に対して、日本政府は、日本国内において、これらの家族の法律上の正当な権利を保護し、日本での生活、就業、学習等の面における便宜を図る」と定められているにもかかわらず、 上記のような問題がある。
 最後に種子島秀子さんは、今現在起きている二世、三世の諸問題の根源は、戦争と国の施策の不作為によるものと力説しました。そして、二度と戦争が起こらないよう、日中友好のために中国残留邦人問題を自分の口から後世に伝え続けたいと誓いました。
                                                    

(韓静)
 
かけはし第13


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