スタッフの横顔 シリーズH
日本語学習を支援する石井さん(中央) |
尼崎日本語教室設立以前から中国残留孤児の支援を続けられている石井敏子さんをその座右の銘とともに紹介します。
飄々としていて、個性的で、自分の世界観をしっかり持っている、そんな石井敏子さんは、尼崎日本語教室ができた2008年の5月20日、高橋さんに誘われて初めてこの教室に来ました。中国語を習い始めて数年、中国へも20回を超える旅をし、そろそろ何かをやりたいと考えていたのです。
「敏於事而慎於言」
(事に敏にして言に慎む)
思い立ったら、すぐさま行動する、但し軽はずみに余計なことは言わない。ボランティアといえども、何の勉強もしないで教えるのは失礼だと考え、「2008年度日本語学習支援者養成講座」を受講しました。そして初日に学習者と交わした一言が、現在に至る原動力となっています。
「破事在得意之日」
(事の破るるは得意の日)
得意の時は油断をする。むしろ逆境のときこそ、チャンスであり成功へつながる。常に学習者の必要に寄り添う石井さんは、深慮とともにあせらずゆっくり、淡々と学習に取り組み、学習者との交流を心から楽しんでいます。
「量から質への転化」
毎朝5時から摩耶山の5合目あたりまでのぼり、ラジオ体操をして7時前後に帰宅する石井さん。この継続が健康維持につながり、遠方にもかかわらず、教室の出席状況はボランティア一です。また、10才頃から創り続けた多数の「短歌」は主に報告詠で、今やその腕前はさながら百人一首歌人「伊勢大輔」のようです。そして生涯の糧となっています。
「旅する事は生きること」
今も旅を続け、決して偏狭にならず視野を広げることで、何が一番大切なのかということを体認している人だと感じました。「健康」や「短歌」はその当然の結果・結晶なのでしょう。
「まだまだ一般社会では残留孤児のことは知らない人が多い。コスモスの会が『かけはし』となって、つないでいかなければならないと思う」と石井さん。
常に手の届く少し上を目指して、残生を過ごすこと、学習者の残生をも豊かにするために、微力ながらできることを探っていきたいと、明るく語ってくれました。