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コスモスの会は中国残留日本人を支援する団体です。

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みちのり

みちのり シリーズ F

松倉 秀子(マツクラ ヒデコ)さん 1943年生まれ 出生地不明 兵庫県尼崎市在住
中国名・馬秀蘭

太極拳の型を披露する松倉さん


親の顔を知らない

 「わたしたち、なにじんですか?」を尼崎の保育所で演じていた時、悲しくて、辛くて、涙が止まらず劇を続けることができなくなった。自分の目の前にいた幼児たちが、母と別れた当時(2歳にもなっていない)の自分に重なったのかもしれない。
 本当の父母は何処にいるのか?とても会いたい!
 1945年敗戦の年、母はハルピンで松倉さんを子どものいない中国人の夫婦に託して三日後に亡くなった。幸い養父母はやさしく、貧しいながらも十分食べさせてもらい無事に育つことができた。 

日本人のくせに!
 養母は教育熱心で、当時としては珍しく高校まで行かせてもらった。
松倉さんは勉強が大好きで、得意なロシア語の通訳の仕事をしたいと、推薦で大学に進学するつもりだったが、「日本人」であることが知られ、政治運動に巻き込まれるのを恐れ、進学することをあきらめた。その後農業生産支援の政策で、共産党であった松倉さんは書記として「貧しい農村がよくなるように」と昼夜努力した。

祖国に帰りたい!
 養母が亡くなり、本当の父母に会いたい、自分が何者か知りたいと、訪日調査に参加した。しかし肉親が見つからないまま、89年、45歳の時に家族で永住帰国した。
 希望を抱いて帰国したはずだった。しかし現実は日本語が十分話せないのに役所から「勉強はやめて早く働くように」といわれ、仕事探しや、日常生活でとても苦労した。中国では教師として尊敬されていたのに、日本では清掃などの仕事にしか就けず賃金も少なかった。それでも、夫と二人で頑張って働き、二人の子どもたちを国公立の大学に行かせた。

元気の秘訣
 朝早くから伊丹市へ電動自転車で55分もの距離を走って行き、大勢の仲間と太極拳をしている。
 また、ベランダではいろんな種類の野菜を育てている。ただし、美味しく料理してくれるのはご主人(韓恵仁さん)とのこと。(笑)

養父母への感謝
 大切に育ててもらった恩を忘れず、これを子どもたちや孫にも伝えて生きていきたいと語る松倉さん。
 週3回の日本語教室(宝塚、伊丹、尼崎)で日本語を学習したり、夜間中学(月〜金)で授業を受けることを、これからもずーっと続けていきたいと、穏やかな表情の中にも熱意と意欲を見せてくれた。そしてこう語る。「成為日中友好橋梁!(わたしたちが中国とのかけはしになりたい)」
 バラグループの松倉秀子さんは、真面目で温かくて、コスモスの会のイべントには、いつも参加して活躍してくれます。
 祖国にしっかりと根をおろして、たくましく、そして明るく暮らしておられる姿にボランティアも元気をもらっています。きっと養父母はあなたを育てられてしあわせだっただろうと思いました。



(聞き手 吉村清美)このページの先頭へ

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